• 佐藤奈緒美

    茶空 SAKUU

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    人それぞれお茶それぞれの多様な「色」を感じることで、多様性の大切さを感じる特別企画。

    自然の恵みと人の手によって育つお茶をひと口、目を瞑って、ひと呼吸。
    香りや温度、重さや舌触り、空気との触れ合いを経て、目に見える以上の、
    その人にとっての「お茶の色」が心に浮かぶ。

    一人ひとりの感性によりそう、お茶の多様性。あなたにとって、お茶はどんな色ですか?

    佐藤奈緒美(茶空 SAKUU)

    渋谷と原宿の中間あたり、驚くほど開放的なエリアにある茶食堂[茶空 SAKUU]で店長を務める佐藤奈緒美さん。山形県の山間部で育った奈緒美さんは、都市に住む人間には想像もつかないほど豊かな自然の恵みを日常のものとして暮らしていたそうです。

    「田舎育ちでおばあちゃん子だったから、野菜とか自然のものしか食べてなかったです。お肉もマタギの人が野うさぎを捕ったときにもらって食べるみたいな、けっこう自給自足に近い生活でしたね。春は山できのことか山菜採って、おばあちゃんが外で干して。夏は川に遊びに行って、炭火小屋でもらった炭と川の水ででおばあちゃんがそうめん茹でてくれて食べて帰るみたいな。お茶は小さいころから飲んでいました。ふつうのお茶も、どぐだみとか自分で採ってくる野草茶も」

    本格的にお茶の世界を深め始めたのは、創作和食の名店[HIGASHI-YAMA Tokyo]で働きだしてから。さまざまな種類のお茶に触れたほか、週に一回抹茶の稽古にも通っていたそう。その素養は、奈緒美さんがお茶を扱う際の所作や姿勢から容易に見て取れます。

    ふだんは朝にお茶を飲むことが多いといいます。

    「休みの日の朝によく飲みます。朝起きて、一息ついてお茶を飲む。小さいころから『朝の一杯茶はだめ』っておばあちゃんから言われていたので必ず一杯二杯と飲みます。お酒も好きで、一日の終わりに必ず飲むのですが、それでいうとお茶は一日の始まりっていう感じですね」

    奈緒美さんがお茶から連想するものとしてあげてくれたのは、カクテルをつくるためのバーツール。自身がお酒好きということはさることながら、バーテンダーとしての経歴もある彼女ならではお茶の視点がそこにはありました。

    「自分とお茶を結びつける何かって考えると、バーツールが思い浮かびました。自分のバックボーンでもあるし、お茶にこういうのも面白いんじゃない?って。急須で淹れるのが当然っていうのを覆してみてもいいのかなって。お酒を作る道具でお茶を淹れるのも面白い。何で淹れてもお茶は茶ですしね」

    奈緒美さんが紹介してくれた茶葉もユニークなものでした。静岡市の大川地区諸子沢でのみ栽培される、お茶の常識を覆すような黄金色のお茶。

    「今回、『黄金みどり』を選ばせてもらいました。理由としては、すごく水色すいしょくがきれいだから。緑だけじゃなくて、こういう黄金色の透き通ったお茶もきれいだと思います。お茶の色ってたくさんあるから。番茶みたいに火が加わるとまた特徴があるし。琥珀色とかのお茶もきれいだと思いますね。お酒が好きなので、色がちょっとウイスキーの水割りとか、(黄金みどりは)そういう色に似てるのも面白いかなと思いました。あと甘み、旨みがすごくて本当に美味しい。そして、茶殻の色まで黄色くて本当にきれい。茶殻も食べられますよ。よくおむすびとかに使います」

    道具が変わってもお茶はお茶。色が違っても、それもまたお茶。山形の大自然から、都会のバーまで、さまざまな景色を知る奈緒美さんのお茶は懐が深い。

    佐藤奈緒美|Naomi Sato
    山形県最上町出身。[HIGASHI-YAMA Tokyo]、[八雲茶寮]などを経て、[茶空 SAKUU]で店長を務める。
    www.instagram.com/naomiona0928

    Photography: Kisshomaru Shimamura
    Text & Edit: Moe Nishiyama & Yoshiki Tatezaki

    人それぞれお茶それぞれの多様な「色」を感じることで、
    多様性の大切さを感じる特別企画。
    自然の恵みと人の手によって育つお茶をひと口、
    目を瞑って、ひと呼吸。
    香りや温度、重さや舌触り、空気との触れ合いを経て、
    目に見える以上の、
    その人にとっての「お茶の色」が心に浮かぶ。
    一人ひとりの感性によりそう、お茶の多様性。
    あなたにとって、お茶はどんな色ですか?

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