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2021.05.08

新茶を祝おう!
新たなる茶の波を体感
OCHA NEW WAVE FES

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5月1日、八十八夜を迎えて、いよいよお茶の2021シーズンが本格化。新型コロナの影響が急拡大するタイミングと新茶時期が完全に重なった昨年。今年も難しい状況はつづいているものの、暖かい春を経て新芽は勢いよく伸び、各地から届く新茶のしらせには例年以上の熱を感じる。

摘みたての茶葉はすぐさまお茶っ葉として仕立てられる。お湯・水を注ぐことで葉はまた開き、最大限に引き出された自然の味を私たちは味わうことができる。茶葉は保存が利くものではあるけれど、新茶が届いたのならやはりこの時期に飲むのが一番。ふさぎがちな日々にこそ、新茶の清らかさと豊かさをうつわ一杯から受け取ることが大切なはずだ。

新たなるお茶が波のように届くこのシーズンに、お茶カルチャーの最前線を今一度感じてみたい。今回は、5月15・16日に開催される「Ocha ニューウェイヴフェス」(渋谷・JINNAN HOUSE)に参加する、ニューウェイヴなお茶屋を訪ねて、彼・彼女たちが伝えたい新茶について聞いた。

TEA BUCKS 大場正樹さん
“そこでしか味わえないお茶”

まず最初に訪れたのは、代官山のヘアサロンの1階に構える日本茶専門店[TEA BUCKS]。CHAGOCOROで店主の大場正樹にお話を伺ったのは昨年の1月のことだった(当時の記事「お茶を面白く、人をつなぎ、カルチャーに。」)。

「去年の新茶時期は全く動けなかったですね。僕らも2ヶ月くらいお店を閉めて、産地に行くことも自粛しました。今年は『来てください』と言ってくださる農家さんもいて、それはすごく嬉しかったですね。お茶摘みや製茶のお手伝いをさせていただいたり。普段は一人で作業されているので、僕らと喋りながらやるのが農家さんも楽しいみたいで」

そう語る大場さんの表情には笑顔があふれる。東京の代官山という地で、お茶を淹れる日々を送る大場さんだが、改めて生産地に足を運んだことで感じたのはお茶が持つ個性だった。

「作り手によって、作った状況によってお茶の味が変わる。それは淹れ手も同じだと思います。それって一種のアートだなって思いますよ」

Ocha ニューウェイヴフェスで淹れようと考えているのは、[お茶の富澤。]の荒茶。荒茶とは、おおまかにいうと、日本茶の製造工程の七合目くらいの“原料の状態のお茶”。それをあえて出そうというそのこころは?

「荒茶ってふつう飲むことができない。農家さんのところでしか味わえないお茶です。香りをかいでみると、そう、茶工場の香りがするんですよ。今回はそれをちょっと伝えたくて。野性味があるというか、きれいになる前の味というか、そこがまたよかったりするんですよ」

まさに新茶の時期にしか味わうことができない荒茶の味。大場さんの製茶体験談とともに、ぜひとも味わってほしい。

アイスドリンクとして、同じく[お茶の富澤。]の「奥豊か」の新茶を用意。一度淹れたお茶を急須に戻しては淹れを繰り返し、その旨味を凝縮させたこちらもはずせない

norm 長谷川愛さん
“大好きな人のお茶”

青山の国連大学前でお茶の祭典「Tea for Peace」を企画し、自身のお茶のブランド「norm」を手がける長谷川愛さんも、昔から各地の茶園をめぐってはお茶摘みや製茶を手伝いながら生産者とのつながりを育んできた一人(過去の記事「長谷川愛さんと体験冬の茶園から生まれる「三年番茶」づくり」)。自身のスマホには五ケ瀬町の天気予報が登録されているというほど、宮崎県の茶産地とは特に親密な関係を築いているそう。

模様が美しい九谷焼の茶器で[宮﨑茶房]の「みねかおりの釜炒り茶」を

香り高くかつすっきりしたお茶が好きだという長谷川さん。味わいの好みもさることながら、[宮﨑茶房]の宮﨑あきらさんへの敬愛も深い。

「アキラさんのことは本当に慕っていて、第二のお父さんっていうくらい。子供の名前つけるときも相談しました(笑)。過去に何度も長期的に畑にお邪魔して収穫や仕上げの工程を手伝わせて頂いて勉強させてもらいました。お茶も本当に美味しいんですけど、人柄がお茶に出るって本当なんだなって思わされる方です。なんというか、朗らか。すごくオープンで、アキラさんのまわりに人が集まってくるんですよ」

ちょうど釜炒り茶の新茶を取り寄せているところ。当日は、温かく淹れたものと、氷出しでも味わえる予定だという

今回は、[宮﨑茶房]で出会ったキャメロンさんと一緒にお茶を振る舞う予定。パリや東京でバーテンダーとして活躍するキャメロンさんが、イベントのために特製のモクテル(ノンアルコールカクテル)を披露してくれるのだという。

「みんな面白いドリンクをご用意されるだろうから……キャメちゃんにモクテルを作ってもらうことになりました。いつも何を使って作るか説明してもらうんですけど、実際に飲んでみると想像と違うものがきて面白いんです。いい意味で、私には予想のできない飲み物を出してくれる」

まさにニューウェイヴのにおい。期待せずにはいられない。

a drop . kuramae 田邊瞭さん
“エモーショナルなお茶”

茶産地をめぐるという点では、べったなこと田邊瞭さんも忘れられない(過去の記事「かぶく茶人・べったなさんが表現したいお茶とエモーション」)。産地に暮らすようにして、その土地と人々の暮らしを見つめてきた田邊さんは、昨年10月、蔵前に日本茶のセレクトショップ[a drop . kuramae]をオープン。お茶のエモーショナルな部分を語り伝えながら、愛すべき日本茶を発信している。

「こんな状況ですが、この時期に新茶を伝える機会があることを生産者さんも喜んでくれていて」と気合十分の様子。

用意してくれるお茶は、静岡[しばきり園]杉山忠士さんの手摘み煎茶「峰」と、滋賀・政所の「平番茶」の2種類。

「政所のお茶って600年くらいの歴史があって、宇治からもずっと一目置かれるお茶づくりをしてきたところなんです。工芸品のようなお茶とはまた違う感じで、町自体がお茶と一緒に生活している感じというか。冬は雪がけっこう降るところなんですけど、お茶はしっかり育つんです。ぜひ行ってもらいたいですねぇ」

お茶を飲む前から、いきなりその世界へと引き込むトークはさすが。

政所の平番茶。急須で淹れる方法プラス、アイスでは「生産者の方が出してくれたやり方を再現しようと思って」と、山椒を効かせた出し方もしたいという

もう一方の[しばきり園]の杉山忠士さんは2000年生まれで、茶農家として今年3年目。昨年のお茶と見比べて、「今年はめちゃくちゃきれいなお茶に仕上げたなぁって感じですよね」と唸る。「これから続けていって10年目とかになったらどんなお茶になるんですかね」と、茶葉を見つめながら一人の作り手の未来にまで想いを馳せる。

「忠士さんのところにも今年行けて、その時に、彼は『淹れ手のところにお茶が来た時点で、作り手からは離れていると思っている』と話していたんですよね。自分が淹れているってことは、『忠士さんと俺のお茶』になってるってことだなって。自分なりの淹れ方はもっとあると思うので、本番では違う淹れ方しているかもしれないです。俺が見てきた景色を、お茶を通して伝えたいですよね」

ニューウェイヴという言葉については「めっちゃ恥ずかしいですね」と笑っていた田邊さん。たしかに、新しいかどうかというのは陳腐な考えだが、波とは寄せては返しを繰り返すもの。植物であり自然の一部であるお茶が一年一年違うように、新しさは常に更新されていく。そうした刹那の体験を噛み締めたいと思う。

SA THÉ SA THÉ カイノユウさん
“相乗効果でみんながハッピーに”

モデルとして活躍するカイノユウさんも、Ocha ニューウェイヴフェスに参加する一人。静岡市出身の彼女は、昨年日本茶ブランド「SA THÉ SA THÉ(サテサテ)」をローンチし、日常の中で楽しんでもらえる日本茶を提案している。今回セレクトした新茶は九州産の「ゆたかみどり」という品種。

「私が静岡出身なので、サテサテも静岡茶だと思われているかもしれないのですが、実は全くそういうことはなく、地域の垣根なく、緑茶を楽しんでもらうためのブランドです。今回はお茶屋さんと色々試飲をして、ゆたかみどりに決めました。新茶らしい旨味がありながらも、お茶らしい渋味もある。サテサテのお茶の味を決めるときも、お茶をふだん飲まない人も入りやすいお茶を意識しています。他の皆さんはきっとすごいお茶を用意されていると思うのですが、サテサテは超スタンダードです(笑)」

カイノさんは、イベント期間中「Make me time 〜緑茶のブレンドワークショップ〜」と題して、気軽に合組体験を楽しめるワークショップを開催予定。

「シングルオリジンのお茶、苦味、旨味に特徴があるお茶など数種類の味を比べてもらいながら、自分で茶葉をブレンドしていただける形になります。肩肘張らずにラフに。少しでもお茶を知る入口になってくれたらいいなと思っています」

「コーヒーではサードウェーブっていうのがふつうですけど、日本茶ではまだ新しいからすごく楽しみですよね。皆さん自由なスタイルでやっている方々なので、すごくニューウェイヴ感があっていいと思います。いろんな相乗効果でみんながハッピーになったらなって。私もがんばります」

Satén japanese tea 小山和裕さん

CHAGOCOROでもおなじみ、西荻窪の日本茶カフェ[Satén japanese tea]の小山和裕さんもOcha ニューウェイヴフェスに参加する一人(過去の記事「西荻窪の街角に生まれた 日本茶とコーヒーの交差点 Satén japanese tea」)。

「出店者としては他のお店さんと会えるのが楽しみ。大場さんともべったなくんとも一緒に出店したことないですし、愛さんとも横に並んでお茶を淹れたことはないですもん。もうお客さん側でいたいかな(笑)」

Saténの看板メニュー、抹茶ラテを飲んでいただきながら意気込みを聞くと、無邪気にそう答えてくれた小山さん。当日はやはり抹茶ラテを用意してくれる。

「やっぱり抹茶ラテから(お茶の世界に)入ってきてくれている方がいますからね。それが入り口になって、他のお店を紹介したらそこでもっとハマってくれたり、今はいろんなところに行ってもらえるので面白いですよね。カウンターでずっと横の人と喋ってるかもしれないです(笑)」

プレイヤー同士の交流はカルチャーが盛り上がるために欠かせない要素。そうした刺激の交換はきっと私たちファンへと良い形でかえってくるに違いない。「淹れ手」として小山さんももちろん手を抜くことは考えていない。新茶はドリッパーで淹れるつもりだという。

「[茶友]さんの玉緑茶を、うちで作ったドリッパーで淹れようと思います。長崎のお茶で、味わいが伝わりやすいお茶といえると思います。お茶関係の人にも『お』と思わせるいいお茶です。やっぱりこの時期、生産者さんは忙しいのでイベントってできないんです。でも僕ら淹れ手は動けるので、今の時期にできるのは本当にいいんですよね」

会場は渋谷・JINNAN HOUSE

会場は渋谷神南にあるミニマル複合施設[JINNAN HOUSE]。渋谷と原宿の間というロケーションにあって、空が広く、緑も多く、鳥のさえずりが聞こえるオアシス的なスペース。

施設内の茶食堂[SAKUU 茶空]からは、店主の佐藤奈緒美さんが新茶を振る舞う。さらには、人気の定食や静岡おでんなどのフード、ジェラートや寒天などの甘味も用意される。

メインヴィジュアルを制作したのは、「VAISA」を手掛けるクリエイティブ集団sinden。リバイバル的な雰囲気のイラストには、産地にも活気をもたらすようにという願いが込められている

Ocha ニューウェイヴフェス
2021年5/15(土)11:30-20:00、5/16(日)11:30-19:00
※新型コロナウイルス感染拡大により営業時間短縮などの可能性あり。
開催場所:JINNAN HOUSE(〒150-0041 東京都渋谷区神南1-2-5)
主  催:JINNAN HOUSE(instagram.com/jinnan.house
協  力:CHAGOCORO(instagram.com/chagocoro

Photo: Taro Oota
Interview: Yoshiki Tatezaki & Emiko Izawa
Text: Yoshiki Tatezaki

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