• 新茶にありがとう! オチャ ニューウェイヴ フェス2023 at JINNAN HOUSE レポート<前編>

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    今年で3回目の開催を迎えた、新茶の季節を祝うオチャフェスこと「オチャ ニューウェイヴ フェス 2023 at JINNAN HOUSE」。今年は、東京+京都からお茶屋が7店舗に加えて新たなフードも登場、夜はカクテルバーのポップアップもあり盛況となった。

    CHAGOCOROでは、2日間にわたって開催されたそんなオチャ ニューウェイヴ フェスを店舗ごとに振り返っていく。前編では、お茶屋3店舗と今回初参加となった“日本茶のお供”をご紹介。

    今年は「香り」が身近になった
    [norm tea house](三筋)

    初開催から3回連続で参加の常連となっているのが、台東区三筋に店舗を構える[norm tea house]。「初めて参加した2年前はまだ店舗がなくて、ちょうど物件を探している時でした」と振り返りながらお茶を淹れてくれたのは長谷川愛さん。お茶屋として重ねてきた時間の流れの速さにも驚きを感じつつ、今年はようやく五感でお茶を堪能できるようになったことが嬉しいそう。

    「お茶を淹れているとそのお茶の香りが立ってくるのですが、去年までは状況的にマスク越しで届かなかったり、茶器に触れて感じていただくということがやりづらかったです。今年はこうやってお客さんと触れ合えるようになったのは嬉しいですね」

    会話をしながら、香りや色、味などお茶をさまざまな角度から体感できるのは、オチャ ニューウェイヴ フェスというイベントの魅力の一つだ。その点、「香りが身近になった」今年は、ようやくイベントの本領が発揮されたといえるのかもしれない。

    これまで、[宮﨑茶房]のつくる釜炒り茶を毎年用意していた長谷川さん。例年通り[宮﨑茶房]のお茶だが、今年は「やぶきた」という有名品種で、長谷川さんとしては珍しいチョイスとなった。

    「多分今回のお茶屋さんの中で一番すっきりしたお茶を持ってきました。一杯目に飲んでもらうのに最適だと思いますよ」

    そう話す一杯をいただくと、桜餅のような春の自然な香りと柔らかな旨みにほっと一息つく心地がした。

    norm tea house
    東京都台東区三筋1-11-8
    normtea.com
    @normteahouse

    お茶を知って、淹れる
    [ヽ-TEN-]

    「個性的なお茶屋さんが点在しているのが今回のイベントの面白さですね」と話してくれたのは、下北沢[ヽ-TEN-]の青木真吾さん。今回は、イベント前に実際に訪れることができたという宮崎・都農町(つのちょう)にある[門田製茶]の古式本釜炒り茶を提供してくれた。

    「古式という所以は、初代から受け継いだ道具をそのまま使って製茶していること。昔ながらのつくり方を今も守ってお茶づくりをしていらっしゃるんです。お父さんと息子さんの親子2人で営まれているのですが、とてもアットホームなお二人なんです」

    そう農家さんの魅力を語ってくれる青木さん。茶摘みに参加し、パッケージングまで手伝ったのだそう。昨年はオフシーズンに見学に行き、今年は必ず新茶を手伝うと決めていたという。

    「門田さんのお茶はすごく元気が出るんです。特徴がしっかりあって、飲み口もしっかり目で、でも濃いと思いきや、スッキリした清涼感があります」

    淹れた後の茶葉の香りも試してほしいと、平らで口が広い宝瓶ほうひんを使用。青木さんが被っていた麦わら帽子は、茶園を訪れた際に角田さんからいただいたもの

    そんな特徴を活かし、釜炒り茶にパイナップルをブレンドした爽やかでフルーティな一杯も提供していた。

    「お客さんとの距離は店舗と変わらないですが、このイベントは他のお茶屋さんの方とのご縁があるのも面白いですね」と青木さん。お茶を淹れるだけではなく、人との繋がりが自然に広がるお茶の面白さを実感していたようだ。

    ヽ-TEN-
    東京都世田谷区北沢2-19-2
    @ten.shimokitazawa

    個性豊かな茶葉へのこだわり
    [売茶中村]

    京都・宇治から初参加となったのは[売茶中村(BAISA NAKAMURA)]。店主の中村栄志さんの完成されたプレゼンテーションには多くのお客さんが釘つけになっていた。

    「13日・14日の2日間のイベントの為に、前日12日に店舗にある製茶機でお茶を揉んで、京都から車で東京まで来ました」というから驚き。製茶したてのお茶を提供したいという熱い想いがひしひしと伝わってきた。

    今回は3種類の新茶を用意。どれも摘みたてで瞬間冷凍され、イベント直前に解凍・製茶されたという、最も新鮮な状態の茶葉で提供してくれた。

    「新茶と言えど、農家さんが摘んで荒茶製造して、2〜3日おいてから市場に出されます。その市場に出されたお茶を茶問屋さんが入札し、仕上げと袋詰めをして、店舗に並べるので、皆さんの手元に届くまでに2〜3週間かかってしまうことが多いんです。今回は製茶してから2日(初日に飲めた方は1日)ですので、ふつうでは流通しない鮮度といえます」

    飲む前から中村さんのお茶に興味津々。どの新茶も個性があり、お客さんの感想が飛び交う一幕も。また、スペシャリテでは自家製のビールサーバーから注がれる「NITRO GREEN TEA」を用意。水出し茶を窒素ガスでサーバーから注ぐことできめ細かな泡が立ち、クリーミーな味わいの新感覚なお茶。

    「この飲み方で一番美味しくなるように6種類の揉み立てのお茶それぞれに適した火入れをしてブレンドしています」と、こちらも半端ではないこだわりが伝わってきた。

    「NITRO GREEN TEA」を飲むお客さん

    まるでTV番組の司会者のように小気味の良い語りで新茶の魅力を語ってくれる中村さん。「寒い時期があるからこそ、甘い新茶の葉が採れる」と、その一杯のありがたみも一緒に味わうことができた。後半には声が枯れるほど全身全霊でお茶を熱く語り尽くし、来場者のみならず、近くにいるお茶屋さんまでも魅了してくれた。

    売茶中村
    京都府宇治市宇治蓮華49
    https://baisa.jp
    @baisa_nakamura

    フレンチと和菓子の出会いは新茶の最高のお供
    [アトリエフジタのおはぎ]

    代々木上原のフレンチレストラン[ATELIER FUJITA]が手がける[アトリエフジタのおはぎ]も今回が初参加。おはぎ職人の阪根俊維さんは、日本茶にもハマっていて昨年はお客として来場していたそう。

    「こんな伝説的なイベントに参加させていただいて嬉しいです! いつもはオンラインでの注文が主なので、こうしてお客様に出来立てを食べてもらえるのが嬉しいです」と笑顔で話してくれた。

    「出店しているお茶屋さんからおすすめしていただいて食べに来てくれる方や、一度買って美味しかったと言って、改めてお土産に買いに来てださる方もいました」という言葉の通り、両日売り切れと大盛況だった。

    お茶のイベントということもあり、「ほうじ茶とレモン」が特に人気だったそう。他5種もそれぞれ個性的なフレーバー揃い。写真は奥から「ほうじ茶とレモン」「小豆と塩の花」「小豆と青のり」

    通常のおはぎに加えて、“冷たいおはぎ”も新感覚。シェフの藤田善平さんが「リオレ」というお米を甘く煮たフランスのデザートをイメージし、牛乳で炊いたお米を使用してつくったおはぎで、今回はつぶあんの周りにココナッツを纏わせた「小豆とココナッツ」が提供されていた。ミルクとお米の濃厚な甘さとココナッツの香りがお茶とベストマッチした、新たなおはぎ体験となった。

    アトリエフジタ
    東京都渋谷区西原3丁目4-3
    https://atelier-fujita.com
    @atelierfujita_ohagi

    例年以上に各店舗の個性が際立った印象のオチャ ニューウェイヴ フェス 2023。リラックスした雰囲気の一方で、お茶と人に向き合う“淹れ手たち”の真剣な姿勢を目の当たりにすることができた。

    後編では、今回に負けず劣らずの個性的なお茶屋をご紹介。新茶を表現し合った2日間をさらに振り返ろう!

    Photo by Taro Oota
    Text by Airi Kato
    Edit by Yoshiki Tatezaki

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