• SA THÉ SA THÉの日本茶を囲んで
    “幸せの再来”を願うイベント FÊTE DU MUGUET<前編>

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    「お茶の縁でつながる」

    CHAGOCOROの取材を通じて出会う方々の口から、よくそんな言葉が聞かれます。地域を超え、年代を超え、時には業種業界を超え。お茶という誰もが親しめる飲み物だからこそ、そうした輪が広がりやすいのでしょう。

    今年の新茶が始まる少し前、そんなお茶でのつながりにわくわくするようなイベントが東京で開催されていました。「FÊTE DU MUGUET LE RETOUR DU BONHEUR」、フランス語で「スズランの祭典 幸福の再来」と名づけられた2日間のイベントを通じて、軽やかで明るいお茶シーンを体感することができました。

    会場は代々木上原のクリエイターズスタジオ[OPRCT]。ビジュアルアートや音楽、さまざまなクリエイター、アーティストの表現の場です。キッチンカウンター付きのスペースをメイン会場に、地下のスペースにはデンマークのインテリアブランド「HAY」のテーブル、チェアが並んでおり、来場者はそれぞれにくつろぎの場を見つけることができました。

    SA THÉ SA THÉのお茶と、[Cyōdo]のパフェ

    イベントを主催したのは日本茶ブランド「SA THÉ SA THÉ」のカイノユウさん。

    イベントのために特別ブレンドを用意。”MUGUET”=スズランをイメージして、静岡・本山地区のやぶきたに近江地方の在来種をブレンドした煎茶です。力強さと爽やかな香り、上品な味わいと深みを併せ持つ煎茶は、すっきりと楽しめながらも日本茶の奥深さにも目覚めるような仕上がりでした。

    そんな特別ブレンドに合わせてパフェを作ったのは、幡ヶ谷で人気のワインバー[Cyōdo]の萌菜さん。自家製の白餡、ユズ、レモングラスのほか、クルミ、蕎麦の実、きなこ、カルダモンなどを使ったパフェは、もちろん大好評。

    永福町の注目店[中華可菜飯店]もフードを振る舞いました。中華のおかずを詰め込んだ具沢山のお弁当、ちまきとお漬物のセット、杏仁ビスコッティー、桃饅頭など人気を集めていました。

    [中華可菜飯店]店主の五十嵐可菜さん

    昨年8月にオープン以来、月替わりコースの予約は毎月ほぼ満席というほどの人気。自らの中華料理店をオープンするに際しては「お茶にもこだわって、中華料理屋のイメージを変えたかった」と可菜さんは話してくれました。

    「いつも『中華にはロマンスが足りない』って思っているんです。クリスマスに中華を食べに行こうってあまりならなかったり。だから私はロマンスを提供したいって思っています。お茶についても地味なイメージを持っている方は多いと思うのですが、今回のイベントはロマンスを提供したいという[中華可菜飯店]のコンセプトにも近いと思いましたし、ぜひ参加したいと思いました」

    開店前には上海でお茶の文化に触れて刺激を受けたという可菜さん。「人が来るとナチュラルにお茶会が始まる。それでいて本気でお茶を飲んでいる感じがすごくいいなと思いました。初めての体験がお茶のお店にあってすごく面白かったです」。

    [中華可菜飯店]に茶葉を提供し、このイベントでもお茶を振る舞っていたのは、昨年7月にスタートした中国茶ブランド[Haa]のジャッキーさんです。

    出張で訪れた中国でお茶にのめり込み、自らのブランドを立ち上げ、年代も近いカイノさんとはいわば同志として、それぞれが愛するお茶の魅力を発信しています。通常商品ではティーバッグで中国茶へのアクセス性を高め、「幸せなため息を、つこう。」というコンセプトのもと、お茶をもっと日常の中の身近な存在としてほしいと活動を広げています。

    Maya Michikiさんの写真の展示が会場に花を添えました

    さて、イベント名に掲げられたスズランですが、フランスで5月1日に大切な人に感謝を込めてその花を贈るという「スズランの日」から取られています。花は日常に彩りを添えてくれる存在であり、人に感謝を伝えたり幸せを願ったりする象徴ですが、カイノさんはお茶もそんな存在となるようにと思いを込めたと話します。

    会場内を花で彩り、生花の販売もしたのはフラワーブランド「Brose&Butter.」の山本万菜さん。今回のイベントのアートワークも手がけています。さまざまなセンスが組み合わさりながらブランドを形づくる、すばらしい取り組みだと感じました。

    万菜さんは、お茶を日常的に飲む家庭に育ったこともあり、普段からお茶に親しんでいるとのこと。

    「(カイノ)ユウちゃんがやっている日本茶というのは、私たちのDNA的にもすごく馴染みがあるものだと思いますし、日常の中で色々な飲み方をしてもらう提案ができるといいねということは彼女とも話していました。飲食店などでお茶が無料で提供される場面も多くありますが、サテサテのように文化やファッションによる付加価値のあるお茶が受け入れられるのは、お茶の新時代だなと感じます。20〜30代を中心に新たな価値が構築される現象は、すごく革新的だなと思いますね」

    Brose&Butter.」の山本万菜さん

    実際に20代前半から30代の来場者の姿が目立ったイベント「FÊTE DU MUGUET」。「いかにニュートラルな気持ちで日本茶を飲んでもらえるかずっと考えていた」とはカイノさんの言葉ですが、会場はまさに自然体で気持ちよくお茶を楽しむ空気感に溢れていました。

    美味しいフードやスイーツ、きれいなお花など五感を楽しませる要素がたくさんあったこともありますが、各出店者それぞれがお茶を面白がっているという気持ちがその空気感を醸す大きな要因だったように感じました。

    スズランの花言葉である「幸せの再来」。日常の中の幸せを再発見したい、そんな気持ちにも寄り添う時間は今も印象に残っています。

    次週はイベントを主催したカイノユウさんに改めてお話を伺います。

    【参加ブランド・会場のインスタグラム】
    SA THÉ SA THÉ @sathe_sathe_official
    中華可菜飯店 @chukakana_hanten
    Cyōdo @cyodo_official
    Haa @haatea_official
    Brose&Butter. @broseandbutter
    OPRCT @oprct.tokyo
    Sakura Maya Michiki @mayamichi

    Photo: Kumi Nishitani
    Text: Yoshiki Tatezaki

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