• ロエベ×スタジオジブリのポップアップストア
    クラフトを愛するコラボにインスパイアされた10日間

    SCROLL

    スタジオジブリの映画『千と千尋の神隠し』とロエベのコラボレーションによる限定カプセルコレクションが、アンノン原宿で開催された。盛況の中、1月16日に終了したこちらのポップアップストアだが、原宿の路地裏に映画の世界観を纏った古民家を登場させ、道ゆく人の視線を釘付けにするほどインパクトの大きなイベントとなった。

    外装や門まで映画テーマに染められた会場を前に、「あれ、ここ何だっけ?」「千と千尋だ!」という若者たちの驚きの声が聞こえてきた

    1846年スペイン・マドリードで生まれたレザークラフトブランドのロエベと、日本が誇るアニメプロダクションであるスタジオジブリの両者に共通する「クラフト=手仕事への愛」がつないだという今回のコラボレーション。

    千尋、ハク、湯婆婆、カオナシといった代表的キャラクターの他、アオガエル、オオトリさま、坊ネズミ、ハエドリ、ススワタリなど、映画ファンがグッとくる名脇役たちもロエベのアイテムにフィーチャーされている。

    油屋へ渡る赤橋や、紙の式神など、映画の世界に没入するような演出もたっぷりで来場者を楽しませた。そして、会場の外に設けられたカウンターでは「よきかな茶」と名付けられた一杯が振る舞われた。

    [伊藤園]の『煎茶天竜』に、狭山[奥富園]の『鬼の白骨』、そして愛知[糀屋三左衛門]の「あま酒」が、寒波訪れる中で来場者を温めた。

    2種類のお茶はOSGK+のセットで淹れられた。千尋、湯婆婆、ハクの劇中画があしらわれた限定スリーブカップも嬉しい

    ポップアップショップを訪れた[奥富園]の奥富雅浩さんは、「コラボレーションの本気度が段違いだと感じました」と振り返ってくれた。

    「単にキャラクターをプリントしたということではなく、例えばキャラクターの輪郭を切り取った上でまた別の皮と組み合わせて縫製したというお話も聞いて。本当に、『千と千尋の神隠し』の世界観をブランドのものづくりと“融合”させようとしていたんだなと感じました。映画の要素がさりげなく造形の中に取り込まれていたりと、そのバランス感覚はすごいなと思って見させていただいていました」

    ディテールに心血を注ぐ職人のエスプリに共感したという奥富さん。「あの場所がもう別世界のようでしたね」と話すその場所で、自らのお茶が振る舞われて「とてもありがたいです」と素直な喜びを話してくれた。

    ロエベとジブリの「クラフト」に大いに刺激をもらったという奥富さん。これから目指したいお茶づくりのイメージはあるだろうか? 尋ねてみた。

    「萎凋茶らしい華やかな香りを活かして、なおかつ日本茶らしい旨味とうまく融合したお茶ができないかなと思っています。“融合”といっても、そこまで大きなことは言えないですけど(笑)。でも、より豊かなお茶体験ということを考えてみた時に『一杯で伝えられる情報量ってもう少し増やせるのでは?』ということを最近思っていました。例えば、ロエベさんの複数の皮を組み合わせるというクラフトを見たときに、『お茶でこういうイメージを表現するとどういうことになるんだろう』と。そのことにすごく興味があるんですよね」

    今年の奥富さんはどんなお茶をつくってくれるんだろうとわくわくさせてくれる。

    「うまくいくかどうかは未知数ですけど、挑戦することが一番かなと思います」

    ファッションとカルチャーの素晴らしいコラボレーション。異なる世界からのインスピレーションを受けて日本茶がまた一つ面白くなりそう。CHAGOCORO的視点で見れば、そんな気運を感じる機会となった。

    今回も最後までお読みいただきありがとうございました。LOEWE×スタジオジブリのポップアップストアでふるまわれた『煎茶天竜』と『鬼の白骨』を、読者の皆さまにプレゼントいたします!


    ※おすそわけプレゼントのご応募は終了いたしました。
    たくさんのご応募、また記事へのご感想をいただきありがとうございました。茶葉は当サイトのSHOPページからお買い求めいただけます。引き続きお茶の時間をお楽しみください。

    以前、狭山の[奥富園]を訪れた際のインタビューはこちらでお読みいただけます。
    江戸からつづく狭山の茶園 今年もお茶づくりは止まらない 奥富雅浩さん<前編>
    江戸からつづく狭山の茶園 今年もお茶づくりは止まらない 奥富雅浩さん<後編>

    Photo: Masahiro Ibata
    Text: Yoshiki Tatezaki

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