• 茶葉だけではなく“体験”もセットで贈りましょう
    [茶屋すずわ]謹製 静岡茶5種のブレンドを楽しむ<前編>

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    こちらのインタビューの一部が音声(Spotify)でも公開中

    大切なギフトに日本茶を

    そう聞くと少し古臭く感じるでしょうか? たしかに、贈答品としての日本茶は歴史が比較的長く、慣習のようなイメージがあるかもしれません。一方で毎年のように新たなトレンドが生まれ多種多様なギフトが選べる今では、お茶を贈る・もらうということはむしろ珍しくなってきています。

    CHAGOCOROでは、お茶を飲むこと、淹れることだけではなく、お茶を自分たちの手でつくることの面白さを、過去に取材させていただいたお茶屋さんなどから教えてもらってきました。

    例えば、「Ocha SURU? Lab. お茶の仕上げ編」では、一見すると全て見慣れた茶葉でも、葉や茎などの部位の違いで味わいや香りが違うことを体感しました。さらに品種の違いや、火入れの違い、合組と呼ばれるブレンドの違いで、何通りものお茶の種類がつくられるという、とても奥深く、かつ広がりのある世界を見てきました。

    Ocha SURU? Lab. お茶の仕上げ編 Part 1〜6はこちらからご覧いただけます。
    https://www.chagocoro.jp/article-category/ocha-suru-lab

    「飲む」だけではなく「体験」へ。

    お茶を淹れて、飲み比べて、会話が弾む日常や、ゆっくりと思いを馳せる時間をつくりたい。そんな想いが今回一つの形となり、皆さんにお届けできることになりました。

    「CHAGOCORO【祝】ギフト」は、手軽にお茶の飲み比べ・ブレンド体験ができ、また自分たちが選んだお茶を大切な方々に贈ることで、もらった人も自分自身のブレンドを楽しめるというギフトセットです。
    (商品詳細は下部リンクからご覧ください)

    このブレンドセットをプロデュースしてくれたのは、Ocha SURU? Lab.でもお世話になった、静岡[茶屋すずわ]の渥美慶祐さん。

    今回は、再び渥美さんのもとを訪ね、ブレンドの内容と静岡茶の面白さを聞きました。

    セットに入っている5種類のお茶は、全て静岡県産の「やぶきた」という品種。同一品種でありながら、静岡の中にも高い山で育てられるお茶もあれば、台地で育てられるお茶もあり、地域ごとに育ち方が違うことでその仕上げ方も変わってくるという、まさに多様性があります。

    「それぞれに特徴があるというのはもちろんですが、この5種類を選んだ理由としてまずは僕が好きっていうことですね。自分が好きなお茶たちを選びました」

    それでは早速渥美さん愛する静岡茶5選を紹介していただきましょう。

    ①「玉川」安倍川流域、静岡を代表するお茶

    静岡市の真ん中を流れる安倍川流域で育てられるお茶は本山茶ほんやまちゃと呼ばれ、その中の一つが玉川という産地です。甘味と渋味のバランスがいいお茶。余韻も豊かで「あ〜お茶だぁ」と沁みる味わい。茶葉自体の香りがよく、メロンのような甘いニュアンスがあるのも特徴とのこと。たしかに甘い香りを感じられました。

    <抽出目安>
    5g / 80℃ / 120cc / 65秒

    玉川にお湯を注ぎます。浅蒸しのため茶葉は大きめ、細長くより上げられたきれいな形から開いていきます
    玉川が入りました。黄金色が美しい

    ②「牧之原」国内屈指の大産地。深蒸し製法のお茶

    牧之原は台地に広がる茶産地で、温暖な気候と日照時間が長いため葉がよく成長する。肉厚の葉は浅蒸しよりも深蒸しの方が向いているとされ、深蒸し製法発祥の地とも呼ばれています(諸説あり)。深蒸し茶は鮮やかな色が出やすく、ブレンドの際にも色をきれいにしたい時に使うこともあるのだそう。渋味が少なく、甘い味わいで美味しいお茶です。

    <抽出目安>
    5g / 70℃ / 120cc / 45秒

    牧之原の茶葉は深蒸しのためかなり細かくなっています
    牧之原は少し濃く青さもある水色

    ③「天竜」山間部で育てられる、野趣あふれるお茶

    浜松の山間部のお茶で、玉川と同じく浅蒸しです。玉川と違うのは、爽やかな渋味と旨味。淹れるお湯の温度によって渋味と旨味の出方が変わるため、色々な表情を持ったお茶とも言えます。飲んでみると、たしかに渋味と旨味がしっかりと、味に厚みがある印象です。加えて、余韻が短く切れがいいのも特徴とのこと。

    <抽出目安>
    5g / 75℃ / 120cc / 70秒

    天竜は浅蒸し。玉川と比べると少し短く、その味のようにぎゅっと濃度が高いように見えます
    少し黄色に近い水色。味の強さとキレのよさが爽快です

    ④「春野」流通量は少ないが、何にでも合う万能なお茶

    天竜から東京方面にひと山越えるとあるのが春野という産地です。浅蒸しも深蒸しも両方作られる地域ですが、渥美さんが選んだのは中蒸しという間のお茶。天竜のワイルドさに対して、春野は奥ゆかしい品のあるイメージとのこと。口当たりは柔らかく、静かにその味と香りを感じたくなるお茶ですが、ブレンドの中に入ると良い仕事をしてくれるそう。

    <抽出目安>
    5g / 75℃ / 120cc / 50秒

    中蒸しの春野。渥美さんは「淹れやすいお茶」と評します
    鮮やかでありながら濃すぎない水色

    ⑤「梅ヶ島」静岡のダージリンとも呼ばれる香り高いお茶

    安倍川の上流、標高約500mもの高い山で育てられる梅ヶ島のお茶の特徴はその香りです。香りはその地層の影響を受けるとのことで、飲み比べの中でも面白い存在のはずです。渥美さんも「かなりワイルド」と評し、山奥という地域ならではの昔ながらのつくり方が味わえるのもグッとくるポイントだそう。

    <抽出目安>
    5g / 85℃ / 120cc / 65秒

    「ワイルド」と表現された梅ヶ島、なんとなく茶葉もわさわさっと力強い感じがします。蓋を開けた時の香りを感じるのも楽しみになるお茶です
    ワイルドさとは裏腹な、きれいに透き通った水色

    5種類を味わって2種類をセレクト

    さぁ、実際に皆さんが淹れてみると、どのように感じるでしょうか?

    味や香りの表現はプロの渥美さんから教えてもらったものを参考にしながら、ぜひ自由な感性を大切にしてください。「このお茶、誰々っぽいね」とか、有名人にたとえてみるのも面白いかもしれません。それくらい気軽に味わってみる方が、きっと印象に残るはず。

    今回、渥美さんが見極め、それぞれにベストな火入れで仕上げてくれた5種類のお茶。どれも特長が異なり、どれも美味しいのでそこから絞り込むのは難しいかもしれません。ギフトではご自身が選んだ2種類を、お相手に贈ることができるようになっています。もらった人もまた、その2つを飲み比べたり、ブレンドしてみたりと、お茶だけを贈るのではなく、体験やその時間も贈ることができます。

    来週の記事では、このギフトセットに込められたこだわりをご紹介します。

    渥美慶祐|Keisuke Atsumi
    静岡市の[茶屋すずわ]店主。創業170年の茶問屋・株式会社鈴和商店6代目として茶問屋を営む傍ら、「現代の茶屋、人々の暮らしになくてはならない大切で優しい寛ぎの存在」をコンセプトに、お茶とそのまわりの物を扱う同店を2017年にオープン。これまでお茶に興味がなかった人に少しでもお茶のある暮らしの良さが届くよう、日々発信している。
    chaya-suzuwa.jp
    instagram.com/chayasuzuwa

    Photo: Kumi Nishitani
    Text: Yoshiki Tatezaki
    Produce: Keisuke Mizuno and Kenichi Kakuno

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    2022.07.29 INTERVIEW茶のつくり手たち

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