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2020.06.26

竹花いち子さんの
オルタナティブ
お茶がらレシピ
<後編>

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甘栗が決め手「茶葉と栗とちりめんじゃこのつくだ煮」

「フレンドリーで楽しくてクリエイティブ」

料理教室「キッチン☆ボルベール」を主宰し、ケータリングや食事会で料理を振る舞う竹花いち子さんの人となりだったり、その料理を端的に表現すると、この3つのキーワードが挙げられる。

竹花さんのホームページには、「10歳の頃から料理はともだちだった」という一言がある。竹花さんと話していると、本当にそうなんだなあ、と実感する。子供が先入観なく、好奇心を走らせて作り上げる、奇跡のような作品に似た純度が、竹花さんの料理にはある。

緊急事態宣言の期間中は、益子の陶器作家が送ってくれた土で、キッチンで手びねりの器を作っていた。
「自粛があけたら益子まで器を焼きに行く予定。楽しみ」

「(コピーライター・作詞家から)料理人になろうと思ったときに“自主トレ”したんだけど、そのときに『自分で自由にやってみよう」と自分に命題みたいなものを課したんだよね」

東京にいると、世界中の色々な食材が手に入る。タイム、マジョラム、ナンプラー、パパド。初めて見たものに対して私たちは、つい「現地の使い方」みたいなのを聞いてしまうけれども、竹花さんは匂いを嗅いで、かじって、見て、自分なりの使い方を見つけてしまうのだ。それはまるで、竹花さんの中を通ると、食材が、匂いと味と色の因数分解をされていっているかのようだ。

だから、聞くと奇抜に思えるような組み合わせでも「だいたい失敗はしない」という。

「自分の中では全然、奇をてらっているつもりはないんだよね。みんなも食べると『知っているような味がする』って言うの」

知っているようで、誰も思いつかない味。それが竹花さんの料理だ。

おつまみにも、お茶漬けにも

お茶がらを使った佃煮はありそうだけれど、そこに入るは天津甘栗?! そのココロは?

「だって、お茶と栗は合うじゃん」と平然と答える竹花さん。言われてみれば、確かに。それにしても、どんな風に発想が降りてくるんだろう?

「今回はね、『お茶がらで何か作って』って言われたから、紙の上にね、まずタイトルを書いた。ほかのお仕事もまずここからかな。で、雲みたいにタイトルを囲んで、ん~~~って考えるの。そしたら、あっ、これは面白いな、きっとおいしいなというアイデアが生まれてくる」

これがその手書きノート。竹花さんが生み出すものには必ず“味わい”を感じずにはいられない

「最初は中国茶の高山茶でこの佃煮を作ってみたんだよね。おせちにも入れたら、すごく好評で。それで今回の依頼があったときに、『この佃煮は煎茶でやってもおいしいな』って、すぐ味のイメージができた」

この展開力が、竹花さんの味覚マッピングのオリジナリティだ。

そんな竹花さんの料理を支えている調味料は、ナンプラーと黒糖。なるほど、どちらも複雑な旨みを持ち、味わいを豊かに膨らませてくれる。

「ナンプラーは、もう『だし』だよね。ナンプラーの香りを前面に出す使い方も、出さずに下支えさせる使い方も両方できる。黒糖はミネラル分がすごく美味しくて、(上白糖のように)精製されすぎていないから、甘みをあまりつけずに旨みをつけられる」

今回使う茶葉は、静岡県を流れる天竜川の上流域で栽培された煎茶。お湯の中で葉っぱが開くと茶畑の爽やかな空気を感じるようなお茶。最初はお茶として普通に飲んで、2、3煎後のお茶がらを使ってみるのがおすすめ。

しょうがをみじん切りにして手際よく炒め始める竹花さん。香りが立ってきたら、ちりめんじゃこを投入。強火でカリカリっとした食感になるまで炒めてから、お茶がらを加える。

ナンプラー、黒糖、お酒やみりん、しょうゆでざっくり和えて水分を飛ばしていく。

栗を加えて火が通るまで炒めれば完成。調理時間5分以内の簡単メニューにもかかわらず、気の利いたおつまみにも、ごはんのおともにもなる優れもの!

茶葉と栗とちりめんじゃこのつくだ煮 <レシピ>

材料
お茶がら(煎茶) 40g
天津甘栗 10粒(70g)
(スーパーなどで売っている、殻むき天津甘栗)
ちりめんじゃこ 15g(大さじ3)
しょうが(みじん切り) 大さじ1
太白ごま油 大さじ1

<調味料>
日本酒 大さじ2
黒糖 小さじ1/2
ナンプラー 小さじ1/3
しょうゆ 大さじ1
みりん 小さじ1

① フライパンに太白ごま油としょうがを入れて中火にかける。しょうがから香りが立ってきたら、ちりめんじゃこを入れて強火にする。

② ちりめんじゃこがカリカリとした食感になるまで揚げるように炒めたら、お茶がらを加えてざっくり混ぜ、調味料を入れる。中火~弱火にする。

③ 日本酒やみりんのアルコールが飛んだあたりで天津甘栗を加えて、お茶がらやちりめんじゃこを絡ませる。栗の中心まで温まり、水分が飛んだあたりで火を止める。

④ バットに③をうつし、平らにならして粗熱を取ったら完成。

難しく考えずにお茶も料理も楽しいと思わせてくれる魔法のレシピを教えてくれた竹花いち子さん。「アナザー茶そば」と「茶葉と栗とちりめんじゃこのつくだ煮」、ぜひご自宅でトライしてみてはいかが。

竹花いち子
武蔵野美術大学・視覚デザイン学科卒業後、フリーランスのコピーライターに。広告CF製作、作詞を主に手がける。15年経って辞めることを決心し、料理の道をいくことに。1993年、世田谷代沢に東京料理[タケハーナ]をオープン。2011年大晦日、最後のおせちを手渡して閉店、以後、食べてくれる人とさらに密接で、自由な料理人をめざして現在に至る。
takehanaichiko.com

Photo: Masaharu Hatta
Text: Reiko Kakimoto
Edit: Yoshiki Tatezaki
Produce: Hiroshi Inada

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